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東海愛知新聞

コロナ死者の対応案

岡崎市 感染拡大初期に独自作成

岡崎市が新型コロナウイルス感染拡大初期の2020年3月、愛知県内の他自治体に先駆けて、新型コロナ患者らの遺体搬送や火葬に係る独自の対応案をまとめていたことが分かった。医療機関や葬祭事業者、火葬場(市斎場)への対応支援を目的としたもので、同年10月には「岡崎市新型インフルエンザ等感染症遺体搬送・火葬実施マニュアル」として正式に手引化。現在も適用されており、内容は市ホームページで公表している。(犬塚誠)

対応案では患者の死亡から火葬までの手順に関して、医療機関、市保健所、葬祭事業者、火葬場ごとの役割を定めた。具体的には、医療機関が遺体の消毒や納体袋への収容、市保健所が医療機関と遺族への死因確認や患者の遺体対応ができる葬祭事業者の紹介、葬祭事業者が火葬場などへの搬送、火葬場が告別時間の設定と火葬をそれぞれ担当。医療機関とそれ以外の役割を線引きすることで、各段階での感染リスクを正しく把握できるようにし、関係者の安全性を担保した。

対応案の策定によって実現したのが、通常に近い“お別れ”だ。市では感染拡大初期から、納体袋越しなどの対策を講じていれば拝顔(遺体の顔を見ること)は可能と判断。ひつぎのふたが開けられない代わりに、遺族の希望に応じて葬祭事業者に小窓付きのひつぎを用意してもらうことで、故人の顔を見て別れを告げられるように配慮してきた。また、収骨(骨拾い)についても「遺骨からの感染リスクはない」として、遺族が行えるような体制を整備。著名人死亡時に報道されたような「病院から骨つぼになって帰ってくる」という事態を防ぎ、少しでも遺族と故人との別れの時間をつくれるように努めてきた。遺族からは「やれないと思っていたことがやれた」などと感謝を伝えられることもあったという。

市保健企画課によると、対応案作成のきっかけは、20年2月のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」乗客らの藤田医科大学岡崎医療センター(同市針崎町)への受け入れ。岡崎はいち早く新型コロナの危機に直面することとなり、死者が出た場合の対応を早急に考える必要があった。そこで、同課は国のガイドラインなどを基に、市民病院や同センター、市立愛知病院(当時)の感染症専門スタッフと協力しながら、対応策を検討。同年3月16日に現行マニュアルの原型となる案を完成させた。1週間後の同月23日には市内で初めての死者が発生し、以降は対応案やマニュアルに沿って遺体の搬送や火葬を続けてきた。

さらに、対応案の素早い作成には岡崎ならではの行政事情もあった。他の自治体では通常、火葬場は主にごみ処理を担う環境課や、市民課などが管轄することが多いとされる。一方、同市は西三河地域で唯一、市保健所が火葬場を管轄。新型コロナ対応の最前線に立つ部署であったことが奏功し、関係機関との連携を図りながら案をまとめることができた。先進的な取り組みゆえ、名古屋市も“岡崎モデル”の一部を参考にしたという。

現在、国は新型コロナの2類相当の感染症指定を継続しており、コロナ禍以前の葬送形態に戻すには時間がかかるとみられている。岡崎市は今後、インフルエンザなどと同等の5類感染症に引き下げられた場合などに、対応を見直すことも検討している。

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