分子研創立50周年
式典や講演、施設見学も
自然科学研究機構分子科学研究所(岡崎市明大寺町)の創立50周年記念式典が22日、同町の岡崎コンファレンスセンターで開かれた。ゆかりの研究者のほか、国をはじめとする行政機関の関係者ら約300人が集まって節目を祝った。(犬塚誠)
分子研は1975(昭和50)年4月22日に文部省(現文部科学省)直轄の研究所として誕生した。分子科学の中核的研究拠点として最先端の研究機器を整備し、研究者間の活発な交流も図られてきた。
岡崎が設置場所に選ばれたのは、広大な国有地があったため。当初は京都や静岡にある国立大学の土地も候補に上がったが、広さの制約と早期利用の困難さから最終的に現在の場所に設置されることになったという。
渡辺芳人所長は式辞で「分子研は50年の歴史上で検証すべき点は検証し、研究課題の見直しを進めながら分子科学の本質に迫る最先端の研究を進めている。これまで以上のご指導ご鞭撻をお願いする」と述べた。
特別講演には大学院生時代に分子研を利用していた北川進京都大学副学長が登壇。「分野ごとに磨かれた力が集う分子研だからこそ、“点”をつなぎ、“面”としての未来を描くような研究姿勢を大切にして」と語った。
式典参加者向けの主要施設見学ツアーでは、普段は見られない設備が公開された。超高速で計算ができるスーパーコンピューターや、分子に光を当てた際の反射で分子の性質を分析する施設などが開放された。
同施設は小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰ったサンプルの分析にも使われた。市立三島小学校南東の山手キャンパスにこのほど開設された共同研究施設では分野横断的な研究内容の紹介があり、参加者が耳を傾けていた。